君のどきどきを僕にくださいませんか

 今日は俺と高遠のサプライズな日です。
 サプライズっつーか、アニバーサリーっつうか、特別感満載な日? なんだそれ、どんな日だよとお思いのそこの君だけに特別に教えてあげよう、特別な日だかんね!
 実はあ、今日はなんとなんと! 高遠と俺が初めて二人で出かけた日なわけ! つまり初デート記念日、みたいなあ、ちょっ言わせんなよ照れるし、もお!
 場所は都内某所楽しい公共行楽施設内部のなかなかスタイリッシュでシャープなカフェ。や、後でいろいろアトラクションとか乗るつもりもあるんだよ。夜になったら夜景とか見てさあ。観覧車に乗ったり? こうさ、向かい合って乗りゃいいのに、わざわざ片側に寄って乗ったりさあ。どうしたんだよ高遠……なんていい雰囲気になっちゃったり? うわあ、どうしよう、それってどうしよう。うん、まあつまりそういうことなわけよ今日はね! そういうことをしてみたい日。
 この場所をチョイスしたのは、もちろん俺だ。
 高遠はここに連れてきて第一声にまず「ふうん、お前にしちゃ外れてないじゃん」ってやらしく笑いながら俺に言った! ウワァオなにそれ! 記念日だからって高遠、それはもうなに!! 俺に対するご褒美? 最初っから飛ばしすぎると俺ぐらぐらしちゃう、高遠の気持ちにぐらぐらしちゃう。はーやべえ、今日ちょっと俺テンション高くね? 高いよね、落ち着こう俺。大丈夫、高遠の横顔を見て落ち着こう。クールで涼しい感じの横顔は今日もかっこいいし綺麗だ。略してかこき。
「なに、きもいんだけど」
「いや、なんでもない。ほんっと、なんでもない。ねね、この後さーどこ行く? なんか乗りたいのある?」
「や、別に。お前に任せるけど」
「マジ!?」
「下心ありすぎの顔してんのきもい」
「えっ……ウソ、俺そんな顔してる? や、でもさあ、今日はほら高遠とお……デート」
「じゃねえけども」
「うぇっいやデートじゃん!」
「デートとか男同士で何言ってんだし冗談じゃねーってかそういう発想きもいってもう何度言ったかわかんねえ」
 そんな事じゃ俺はへこたれない落ち込まない諦めない、だって強い子なんだよ俺は強い男なんだよメンタル的に。炎の男なんだよ高遠。
 俺と高遠をはばむテーブルの上には、季節の野菜が挟まったベーグルサンドかける2、高遠のブラックコーヒーホット、俺のピンクグレープソーダ、レシートとケータイかける2。手を握りたくても出来やしないっつーの! これは超美味いんだけど。あ、でも、俺高遠がなんか食ってんとこすげー好き。なんか食い方がかわいいっていうか? もぐもぐしてんの。食い方はきれーな方だと思うんだけど、黙々と着々と平らげてくのな。
 高遠はあんまり、顔にでない。美味いとか不味いとか、好きとか嫌いとかってんがあんま顔に出ないタイプなんだ。そのくせ口はド・ストレートで弱いものイジメが好きで皮肉屋で負けず嫌い。あ、あとけっこう恥ずかしがり屋サン。でも時々すんげー大胆だから俺は困っちゃう。
 そういうのひっくるめて、俺は高遠のことなーんでも知ってんだ、だって俺高遠のこと愛しちゃってっし。だからブラックコーヒーとクラブハウスサンドの組み合わせが大好きってことも、実は絶叫とかマジ無理って感じなのも、口ではそんなこといいつつ今日ってアニバーサリーを心待ちにしてたことだって俺は実は知ってる、お見通し!
 まあ最後のは俺の妄想だけど、いや心待ちにしててくれたら嬉しいだけ。たぶん嬉しいはず、たぶん。だって俺は楽しみにしてたんだ、高遠と出かけるって考えただけでムラムラする。
「観覧車」
「へっ?」
「観覧車、乗りたい。あとなんだっけあれ、あのなんたら病院とかゆー」
「あーあーなんか心霊なんちゃら屋敷? お化け屋敷?」
「それそれ」
「オッケーオッケー! 行こう行こう他は?」
 ――ああ、でも。
 なんてーの、だってさアニバーサリーよ? 高遠は知らんかもしらんけどさ、俺はすっげー今日を楽しみにしてたわけ、ほんとに。してんだよ進行形なう。
 誘ってオッケー貰った日からまいんち楽しみでやばかったし、冬休みバイトがっつり頑張っちゃったりしたし、追試なったらやだなーと思ってテストだって平均点取ったわけだ。全部高遠とね、今日って日を過ごすためよ、アーユーアンダスタン?
「他っつってもそんなアトラクションなくね」
「んあーあっ風呂? スパとかあったっしょここ」
「女子じゃあるまいし男二人でスパってお前……ねーわー」
「俺は高遠の背中とかわき腹とか見たい」
「真顔きもい」
 だからーなんてーいうかー。……ちょおっとでいいから、ちょおっとでいいんすよ神様。マジ。サプライズっぽいアクシデントとか、ドキュメンタリーとか、ヒストリーとか、高遠との特別感あふれる時間が過ごしてーんです俺は。手繋いでみたり高遠のちょっと斜めで高飛車っぽい笑顔を見たりペットボトル回し飲みしたりとか、さあ!
 いや待てどこの中学生ですか俺は。なにその甘酸っぱさ。ほんとだったら押し倒してーやりてー明日立てないぐらいぐわんぐわんになるまで好き勝手してやり倒したい、そんぐらいに好き。そういうことがしたい。ぐっちゃぐっちゃにした上で俺の名前とか呼んでくれたらマジ最高。惚れる。でもそれが出来ないから中学生みたいな健全な妄想で留まってんじゃーん!
 だからお願いです神様。今日くらいデレデレな……いや、テレくらいでいいです、そんくらいの高遠を俺にください。テレかも? くらいでもいいです、高遠を俺にください高遠を俺にください高遠ください高遠ください。
「高遠ください」
「は?」
「高遠を俺に今日ください。今日だけでいーから」
「神様にでもお願いしてりゃーいいんじゃねーの」
「してる今ちょうしてる。高遠を俺にください」
「馬鹿にはやんねーこの馬鹿。さっさと会計してこい観覧車行くぞ」
「はい」



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全額遠藤持ち。